敦亀通信
リンゴ畑のお月さん今晩は
更新日:2018/11/19
11月22日~25日まで開催されるタートルクラブ秋の味覚プレゼントセールに使用するリンゴの買出しで長野県小布施町に行った。「秋映え」「シナノスイート」に始まり今頃は「シナノゴールド」「サンふじ」が旬である。サンふじは程よい酸味と甘さが売りである。1,000円でち帰れる企画に早朝から数百人が列をつくっている。早速、私と娘も列に並んだ。よく都会の人たちが美味しい料理を求め、ひたすら待ち続ける、という風景を見て、我慢強い人達だなーと感心したが、私もこのように列をつくるとは夢にも思わなかった。待つこと2時間、ようやく私達の順がまわってきた。きれいなダンボールケースに詰められた贈答品用を3箱、お店で使う分としてダンボールケース2箱、そして1,000円の袋詰めを申し込んだ。重いダンボールケ箱を車まで運ぶのは到底ムリなので台車を借りた。遠くに駐車していた車を近くまで移動してもらい、ようやく収納した。それから今日のお目当てのリンゴ袋詰めである。レジ袋を精一杯拡げ、リンゴを詰めてゆく。担当のおじさんが、「リンゴは下の部分が黄色く感じられるのが美味しいんだ」と教えてくれたので、それを頼りに選んだ。袋はすぐに一杯になってしまった。が、そこからが勝負とばかりに詰めてゆく。しかしムリに詰め込むと袋からリンゴがはみ出し地上に落ちる、それを拾い上げて又、袋に入れる。こうした作業の繰り返しで、もうこれ以上は詰められない状態になったところで検査を受けて終了である。一袋で収納できるのはせいぜい10数個内外であろう、代金は1,000円なので決して得とは言えないが、欲と得をかけたお遊びで楽しいひと時であった。きけばこうした袋詰め企画は何処も同じ、長野県のあちらこちらでやっているという。
春先から手塩にかけて育ててきた美味しいりんごを多くのお客様に味わって頂きたいというリンゴ農家の皆さんの思いが伝わってくるようだ。長期にわたる品種改良努力と食生活の欧米化でリンゴ農家も大変潤っているようだ。直売所のお客様もお店の方々も短い秋の日を楽しみ活き活きとした表情であった。帰途は飯綱高原をドライブした。農産物直売所があちらこちらにあった。立ち寄ってみるとここでもリンゴが主役で遠来のお客様で賑わっていた。直売所の駐車場に立って付近の景色を楽しんだ。妙高、戸隠、飯綱、黒姫など北信濃の名峰が眼前にそびえリンゴ園が一面に広がっている。遠くの山はもう雪を抱いており冬がすぐそこに来ていることを感じた。空を見上げると雲ひとつ無い青空であるが早くも陽は西に傾きはじめた。福井に着く頃は真っ暗になっているだろう。誰にでも故郷はある。私の内に遠い昔の歌謡曲がよみがえった。
こんな寂しい田舎の村で 若い心を燃やしてきたに
かわいいあの娘は おらを見捨てて 都へ行っちゃった
リンゴ畑の お月さん今晩は 噂をきいたら 教えてくれよなあ
S31年 藤島桓夫 「お月さん今晩は」
古くて懐かしい風景が偲ばれたのでした。