敦亀通信

月の砂漠

更新日:2021/06/01

以前のことだが日経「私の履歴書 第26話」で兵庫県立大学理事長 五百旗頭 真(いおきべまこと)氏が奥様との死別について語っていた。ガンに侵され死期が迫っている奥様との一夜、奥様が眠れないので一緒に歌を歌いたい、とおっしゃったそうである。その中の一曲が「月の砂漠」であった。死を目前に控えた奥様と一緒にこの歌を歌うと不思議な共感があった、と述べられている。これを拝見したとき、私にも「月の砂漠」のメロディーが思い浮かんできた。誰でも知っている歌ではあるが一種もの悲しい中にも勇ましさを感じる伴奏の始まりがあり、駱駝に乗って月の砂漠を旅する王子様とお姫様の旅が歌われている。のである。子供の頃はエキゾチックさを感じさせる童謡の一つと思っていたが、老境に入る頃から、夫婦二人のしみじみとした人生応援歌として感じられるようになった。今一度、始めから終わりまでの歌詞を鑑賞して見ましょう。

月の砂漠 歌詞

月の砂漠をはるばると
旅の駱駝がゆきました
金と銀との鞍おいて
ふたつならんでゆきました
金の鞍には銀の甕
銀の鞍には金の甕
二つの鞍はそれぞれに
紐で結んでありました
先の鞍にはお姫様
後の鞍には王子様
乗った二人はお揃いの
白い上着を着てました
広い砂漠をひとすじに
二人はどこへ行くのでしょう
おぼろにけぶる月の夜を
対の駱駝はとぼとぼと

砂丘を越えて行きました
黙って越えて行きました

誰でも、若い頃は夢と希望に満ち溢れロマンチックな人生旅行を楽しんだこともありました。ようやくそうした旅にも終わりが近付いてきましたが、まだ終着点は見えません。
楽しいおしゃべり、そんなものはありません。しかし互いをいたわりつつ終着点を目指します。以前、NHKで「シルクロード」という番組がありました。石坂浩二のナレーションとともにスケールの大きな
大砂漠が忘れられません。いつの日か私の葬儀で出棺の時に流してほしい、、、と考えるのは私も年なんでしょうか。