敦亀通信

菅山寺

更新日:2018/01/19

今年の雪はどうだろうか?と思っていたが福井県地方は例年通りの積雪となりました。福井市で約70cmでした。但し敦賀より南の嶺南地方は少ないようです。特に小浜市は積雪0cmとなっているので雪かきに追われている我々からすれば想像もできません。1月8日、巷ではあちらこちらで成人式が開催されている中、友と一緒に滋賀の山へ行きました。今日は余呉町から木ノ本町の菅山寺へ続く林道歩きです。菅山寺はもと大箕寺と呼ばれ当初は法相宗でしたが後に真言宗豊山派となったそうです。菅山寺の菅という文字は菅原道真公にちなんだものであると言われています。道真公は余呉湖周辺の川並村に生まれ6歳から11歳までこの寺で勉学し寛平元年(889年)から本寺を3院49坊の寺院に復興されたそうです。藤原時代から鎌倉時代にかけて隆盛をほこり僧房105末寺70余りと極めて大きなお寺でありましたが、現在は無住となっています。境内に入ってみると本堂等多くの建物が残っていますが荒れ放題になっているのが痛ましく感じられます。なんとか復興できないかな、と思いますが巨額の費用がかかることでしょう。しかし境内を取巻く自然環境は申し分なく年輪を経た広葉樹やきれいな水をたたえた古池は訪れた観光客を慰めてくれることでしょう。今も山門には道真公お手植えになる2本の大ケヤキが元気にそびえています。この木は滋賀県の自然記念物として指定されているそうです。さて、この日は30cmぐらいの雪が積もった林道をザックを背にして長靴で菅山寺まで歩きます。途中,鹿によって丸裸にされた樹木がありました。樹皮が下から上まできれいに剥ぎ取られているのです。相当頑張らねば、これだけきれい樹皮だけを剥ぎ、そして食べるということは鹿といえども出来ないことでしょう。こんな雪の中でも何か食べなければ餓死することになります。春から秋までは草木や木の芽等、食べるものには不足しませんが今のような厳しい季節では何にも無いというのが現実です。我々人間は通常、食べるものには不足しませんが野生の鳥獣は飢餓に苦しみ、そして雪解けの季節まで生き延びるのです。こうした反面、樹皮を剥ぎ取られた樹木もこのままで枯死するわけにはいかないのです。きっと長い年月をかけて新しい樹皮で我が身を覆うことでしょう。自然の中にある全ての生き物が、そうした苦難を当たり前として捉え日々生きていることに哀れみというよりは心からの尊厳を感じました。「私も負けずに頑張ろっと」心の中で誓いました。

 

DSC_0243