敦亀通信
力不足ですが、いつの日か
更新日:2022/09/09
8月中旬、南越前町の南今庄地区を襲った短時間集中豪雨は結果として厳しい被害をもたらした。福井県としては10数年前に美山町や福井市足羽川左岸に生じた集中豪雨に匹敵する被害レベルである。被災後2週間以上経過しあちらこちら不通であった道路も開通している。敦賀市から365号線を通って福井方面に向かった。木の芽峠を過ぎると、土砂災害の痕跡が随所に残っている。以前は清流が流れ山紫水明であった自然はあちこち赤土がむき出しになり川床は土砂で高くなっている。濁流で道路が崩れ通行不能な場所は仮設道路ができている。地区の人たちが住んでいる所では当分は終わることのない後片付けが行われていた。岡山住む私の友達からもSNSでお見舞いメッセージが届いた。「直接の被害が無くて良かったです。年を取ってよぼよぼなのに、大雨の後始末などできはせんなあ、暑さとコロナに注意を、」前回の集中豪雨の時、私がスコップを持参して復旧のお手伝いに行った、ことを彼は知っているのである。もう年なんだから、無茶をするな!という彼らしい気遣いであろう。残念ながら、今の私には、それだけの気力はあっても、体力はない。あの時のスコップですくった土砂が伝える重さは今でも忘れられない。夏の災害は、復旧作業を夏の炎天下でやらねばならないということが苦しさを倍増する。普通にいるだけでも熱中症にかかるかもしれないのに、三度の食事もままならない厳しい環境の下である。被害を受けた地域にはお年寄りが多いはずである。今日は日曜日である。被害状況を伝える地元紙を読みながら考えた。「せっかくの日曜だ、今庄に行ってお手伝いをしよう」と、殊勝にも自分の年齢を忘れて意気込んだのである。「さあ、スコップはどれにしようか、受付の時に年齢を聞かれたら、どう答えようか、何を着て行こうか、昼飯はコンビニで買って行こう」等々、今からしなければならない事の本質とは関係の無い事ばっかり考える自分であった。新聞を見るとボランティア受付に関しては県のホームぺージをご覧下さいとされている。早速、情報を調べてみた。受付は8時までとなっている。今の時刻は既に9時、もう遅すぎる。残念だ、という思いと、それとは別にどこか心の奥にほっとする思いもあった。力不足のわが身が悲しい。今回、被害に遭われた皆様に心からのお見舞いを申し上げる次第である。いつの日か私も私にできるご奉仕をさせて頂きたいと思う。