敦亀通信

母は優し、されど強し

更新日:2020/04/10

 

当社が契約している駐車場と隣接しているあるお宅の車庫の奥にある納屋に3匹のネコが住んでいる。納屋の内部はどうなっているか分からないが、雨風をしのげるスペースがあるのであろう。ここは10数年前から代々ノラネコが居ついている。現在は2~3代目であろうか、真っ黒のクロネコと2匹の茶色のヨモネコである。毎朝、6時ごろ50歳台の女性が自転車に乗って3匹のネコにキャットフードをもってくる。自分のところの飼いネコでもないのにと、、、感心している次第である。私も毎朝6時ごろに車を出しにゆくのでネコたちと出会うことになる。ネコたちは私の顔を覚えているので近づいても逃げてはいかない。私がネコなで声で「おはよー」と挨拶する。しかしこのネコたちは「なんだ、、お前か、、、」といった感じでいつも私を無視している。3匹のネコは体型もほぼ同じで親子関係は今まで分からなかったのであるが、最近になってその関係が分かってきた。外気が0度近くに冷え込み寒くてたまらないときでもクロネコが駐車場の隅で座ってかの女性をじっと待っている。雨や雪のときは駐車している車の下で風雨を避けながら待っている。こんな日には自分のねぐらで待っていればいいのに、と思うが、女性が来るのを静かに待っている。こんなときでもヨモネコは2匹とも姿を見せない。きっとまだねぐらにいるんだろうと思う。女性が到着し食べ物を与えている風景は見たことがない。きっと欣喜雀躍して女性の足元で食べ物をねだっているのだろうか。女性が帰った後、ネコたちが食べ物にむらがっているところを何度か見た。驚いたことに食べているのは2匹のヨモネコだけである。いつもお迎えに出ているクロネコは数メートル離れた場所でじっとヨモネコたちが食べているのを見ている。私の想像が間違っているかもしれないが、クロネコは母ネコでありヨモネコたちは彼女の子供であろう。クロネコがオスであるという可能性もあるが、あれは絶対、母ネコであると確信している。私もひとりのオスであるが、オスというものはあのような形での愛情は持ち合わせていないと私は考える。誰からも教えられなくても自然と出てくる母性本能の素晴らしさであろう。とーちゃんは何処へ行ったのだろうか。おそらく天下国家を唱えつつフーテンのトラさんのように旅から旅へ漂泊しているのかもしれない。昨今、家庭内で子供への暴力ニュースをよく見る。新コロナウイルスで外出が抑制されるとストレスや感情のもつれから親から子供への暴力が多くなるといわれている。どうか、このクロネコのように優しい親であって欲しいと思うのは私だけではあるまい。