敦亀通信
岩籠り山
更新日:2018/04/03
3月も終わりの31日、3週間ぶりの山行となった。あの辛かった豪雪を忘れ去るほど天気も上々である。今回目指した山は岩籠り山(いわごもりやま)で野坂山、西方岳と敦賀3名山になっており人気の山である。国道8号線の市橋と国道161号線の駄口からのルートがあるが今日は駄口ルートを選んだ。ところで駄口という名前は無駄口という言葉からできたのであろうか?そんなことはどうでもいいだろう。私も無駄な言葉を慎みながら駐車場に車を止めた。レストラン沿いの道を登ってゆくが161号線を通過する車の音が耳ざわりである。一刻も早く静かな場所へと山道を急いで登っていった。途中、階段もあるが穏やかな山道が続く。気がつくと自動車の騒音は小さくなったようだ。登ってきた尾根筋や161号線が小さく見えている。遠くには伊吹山がかすんで見える。
やがて勾配が急になり固定ロープや岩場を両手両足で登ってゆく。ようやく山頂に続く稜線に到着した。まだ残雪があちらこちらに残っている。ブナの芽吹きはもう少し日にちがかかるようだ。芽吹きの後は一面の若葉となる5月の山に急変するであろう。
山頂を目指したい気持ちもあるが、おなかの虫が「早くメシにしろ!」と訴えている。少し小高い場所があり乾いているのでその場所で食事にした。今日のメニューは、キノコラーメンである。家の冷蔵庫から新鮮なシイタケを持参した。コッフェルに水を注ぎコンロの火を点火し沸騰するのを待つ。沸騰したら途中、コンビ二で買ったモヤシとカニカマを合わせ激安品のラーメンを入れる。通常ラーメンは1個70円程度になるがこの品は半額に近い激安品である。ラーメンが出来上がるまでにノンアルコール缶ビールをプシュッと開ける。カニカマをサカナにぐっと飲み込む。山で一汗かいた後のノンアルコール缶ビールは缶ビールに負けない爽快感と美味しさがある。出来上がったラーメンをふうふう冷ましつつ頂戴する。プリンプリンのシイタケの歯応えがこたえられない。見上げるとブナの木陰に抜けるような青い空、春の訪れを喜んでいるような鳥たちの声、純白なの雪、総額300円弱の饗宴はどう表現したらいいのだろうか、こんなことで感動している自分って、、普通の人から見れば、おそらくどうかしているように見えるだろう、、と思うが人の幸せ感は他人が感じるのではなく自分が感じるもの、と納得ししばし満足感に浸った。食後のドリンクはココアにしょうか、コーヒーにしょうかと迷ったがコーヒーをいただく。コーヒーは甘い粉末ミルクコーヒである。コーヒーのお供はいつもレーズンビスケットである。これがまた美味しい。昔、クリープの無いコーヒーなんて、、、といった広告があったが、レーズンビスケットの無いコーヒーは寂しい。
食事とコーヒーが終われば直ちに下山となる。登ってきた道を慎重に下りてゆく。途中、タムシバの花があちらこちらに咲いていた。早春の山に咲く花であるが寿命も短い。数日後には見られないだろう。平地に咲いているこぶしの花と欲似ているが別種であるという。
降りてゆく道で山頂を目指す何組かのパーティに会った。人気の山なので関西方面からも数多く登ってくる。挨拶を交わすと、「お早いですね、もう登ってきたのですか?」ときかれる。こちらは山頂まで行っていないので歯切れの悪い答えしか言えない。「いやー途中で引き返しました、、、」というと相手も怪訝な顔となる。山頂に登ることより景色を見ながら登山を楽しみ、美味しい山食事をいただき、あとは温泉に浸かって帰るのが目的です、とは言えないのである。やがて登山口についた。後は、いつもの通り温泉に浸かり疲れを癒し久しぶりの山行を終えたのである。